本棚を作る

きっかけ

 なんというか、うちのPCはちゃぶ台PCで、そのちゃぶ台の回りの収拾がつかなくなってきた。
 PC関係のソフトやパーツのマニュアル、CD-ROM、MOやFDなどのメディア、年に数回見るか見ないかわからないのだけどしまいこむわけにもいかないようなリファレンスマニュアルやハンドブックみたいなやつ。
 その状況を多少でも改善するには収納する場所が必要だとどこからか声が聞こえてきたのである。
 ちゃぶ台という平面的な所に収納場所を増やすには棚が必要である。
 普通に売っている収納棚や本棚は一段あたりの高さが決まっているのでCDやFDを入れるにはかなり無駄が多くなる。
 さらに、奥行きが30cmほどあるので結構圧迫感があり、邪魔である。
 棚といいつつちゃぶ台と連携してPCを置けることとCD類を無駄なく収納できることも必要。
 そんな棚はまず売っていない
 ということで、本棚を作ることにしたのである。

設計

 まじめに作りたい人は「清く正しい本棚の作り方」のような正統派のページに沿って作るべきだろう。
 もちろん私もここは大変参考にらさせてもらったが、性格が性格なのでかなり手抜きなしろものとなっている。

 まずは基本設計。
 どんな形の棚を作るかを考える。
 とりあえずこんな形のやつ。
 奥行きはA4サイズの本を入れることを考えて230mmくらい。
 左から2段目の板が長いが、これはちゃぶ台の高さと合わせてあり、ちゃぶ台の延長としてモニターやミドルタワーの後ろ半分を棚に入れるようにしてちゃぶ台を広く使うのである。
 今までもちゃぶ台の後ろには幅200mmほどの台を作っておいていたので、これはどうしても必要。
 この台と壁の間は150mmほど。
 ということで、2段目の棚の長さは350mm。
 薄い本棚は地震で倒れやすそうな気がするので、一番下の板もこれに合わせて350mmと長めにする。

 で、材料となる木の板は1,820×910で売られているそうなので、その板からどう切り出すかを考える。
 板は必ず1,820の方向に切るらしい。木目からして910の方向に切ると弱いとのこと。
 そういうのを考慮して絵を描くのだが、これを木取り図というらしい。

 のこぎりには刃の厚みがあるので、その分3〜5mmほどを考慮して設計しないと端の一枚だけ狭くなってしまう。
 ので、この絵では端から必要な長さを切り出し、余った分は寸法をいれずないでおく。
 この部分が切る線の数×5mm以上あれば問題ないだろう。

買い出し

 さて、ホームセンターに材料の買い出しである。
 木材と木ネジ、釘などを買ってくる。
 木材はホームセンターでカットしてもらうか、建具屋さんなんかに持ちこんで加工してもらう。
 私は多少の寸法のずれは気にしないのでホームセンターでカットしてもらった。

 で、ホームセンターで板を物色するのだが、結構高い。
 私の作ろうとしているものだと1,820×910の板が2枚必要。
 ちょっとよさそうな材料だと1枚1万円近くしたりする。
 多少不便でも出来合いの棚で我慢しようかなどとちょっと弱気になるが、厚さ15mmの1,820×400のパイン集成材が一枚3,000円弱で売られている。
 その場で急遽設計変更を行なってこの板を4枚購入し、その場でカットしてもらう。

 できあがり予想図(笑)はこんな感じ。
 んで、木取り図はこれ
 余計な板が出てくるが、ついでなので気にせず切ってもらう。
 私の場合、棚板の追加とか急遽予備の板が必要になる可能性は大きい。

材料一覧1 切ってもらった材料を並べるとこんな感じ。

材料一覧2 さらにこんな感じ。

大きさ 今回作る棚がいかに巨大かをわかってもらうため、例によって鎌倉の大仏様に登場願った。

製作


棚板の位置決め
 まず、棚板の位置を決める。
 左右の側板を合わせておいて万力様の親戚であるCクランプ様で固定し、線を引く。
 今回作る棚は、下から一段目はちゃぶ台と同じ高さにするため、棚板の上面の寸法が重要となる。
 二段目はミドルタワーのぺんちくんを入れるために棚板と棚板の間隔が重要となる。
 三段目以降も収納物の高さに合わせて間隔を決ていく。
 どうにも間違いやすそうなので、棚板の厚み分の線をちゃんと引き、その中央に棚板固定用の木ネジを入れる位置の線を引いていく。

側板の木ネジの穴位置 木ネジを入れる場所を側板の内側に書き込んでいく。
 内側なら棚板に隠れるので消す手間もいらないし、穴が斜めになっても外側がずれるだけで棚板の中心位置はずれないだろう、というせこい考え。

側板の木ネジの穴 側板に木ネジを通す穴をあける。
 木ネジが3.5mmなので、3.2〜3.5mmくらいの穴をあけておく。

かんなをかける 切りっぱなしの端面はあまりきれいじゃないのでかんなをかける。
 紙やすりでもいいのだが、かんなの方が木工っぽくていいような気がしたので安物のかんなを購入(笑)。
 ちなみに正面側の面のみ(笑)。あ、角がとがっているのもなんなので面取りもしておいた。
 普通はかんなをかけてから寸法を入れると思うのだが、気にしないことに。
 棚板の穴位置は後ろ面を基準にしているので、正面をちょっと削ったところで誤差は生じない。
 それ以前に、寸法線自体がずれているという噂があるうえに、このあとの加工でどんどんずれていくはずなので、こんなところで細かいことを気にしていても意味がないのである。

棚板の下穴 棚板にも木ネジが入るための下穴をあけておく。
 下穴なしで木ネジをネジ込むと割れそうな気がするからだ。
 穴の直径は2mmくらいにしておいた。
 ちなみに使ったドリルの刃はすべて金物用(笑)。
 複数の板を並べて一気に線を引き、中心出しは目分量で。

仮組み1 ここまで準備をしたらいよいよ組立。
 いきなり木ネジを締めこむとあとからなにかあった場合に面倒なので、とりあえずネジはゆるゆるの状態で仮組みを行なう。
 まじめな人は接着材を塗ってからネジ止めをするらしいのだが、あとでばらすこともあるかもしれないとか、棚の位置を変えるかもしれないとか考えるとちょっと接着する気にはなれない。

仮組み2 まだ仮組みの途中だが、なんとなく棚らしい形になってきた。

直角出し ある程度棚板を仮組みしたら、まだ取り付けていない棚板をあてて直角を確認しながら木ネジの本締めを行なう。
 ひととおり固定したら直角の確認に使っていた棚板も組み付ける。
 これでだいたいの形になった。

ケーブル用の穴 実は棚板にはちょっと細工をしてある。
 PC本体を置く棚は下のほうから電源コード等が来るので、それらが通るように棚板の後ろ側を切り欠いてある。
 PCの上の棚板もスピーカーを置く予定なので、そのための配線を通す切り欠きを用意しておく。
 こういうのは買ってきた棚では用意されていないので、自作ならではというところ。
 わざわざ四角く切り欠かなくても、三角に切り欠いたほうが楽だったかとあとになって気付くが、まあ過ぎたことをとやかく言ってもしかたがない。

 で、裏板のベニアを細めの釘で打ちつけて完成。

組みあがり こんなに適当に作っても、できあがったのを見ると結構立派にみえるではないか(笑)。
 下から二番目の段に裏板がないのは、PCの放熱を多少なりともよくしようとか配線がいろいろあるからどこからでも通せるようにしようとか、そういう考えだったのだけど、結局そんな必要はなかったのではないかと思える。
 過ぎたことをうだうだ言っていてもしょうがないのでこれはこれでよしとする。
 なんかオリジナルな雰囲気が出ていてそれなりにいいではないか。

支柱 さて、組みあげた棚を所定の場所においてみる。
 ここで問題発生。
 カーテンレールが当たる・・・。
 とりあえずカーテンレールの長さを調節してOK。
 今度はかもいが当たる。
 さすがにかもいは切り落とすことはできないので我慢することに。
 けど、かもいに当たった分、棚が壁ぴったりにつかなくなったため、予定より50mmほど出っぱって来る。
 うーむ、しかたがないか。

 それに、なんかちゃぶ台と高さが合わないんですけど・・・。
 高さを計ると計算通りなんですけど・・・。
 どうやらちゃぶ台の向こうとこっちで畳の高さ(へこみ具合?)が違うっぽい。
 ま、それは置いといて。

 この材料、木目方向はそこそこ丈夫なのだが、木目の直角方向はかなり弱い。
 なんで、150mmもでっぱっているとPCやモニターの重さでかなりたわむのである。
 というか、手で動かしても結構ぐにゃぐにゃしている。
 直角方向は接着材の弾力に左右される感じ。
 そんなわけで、写真のように余った木で支柱を作ってみた。

ちゃぶ台の上に板 ちゃぶ台との高さの差はなぜか部屋に転がっていたホームセンターで安く売られている木っ端材で解消。
 80円にしては立派である。

配置した様子 本棚とちゃぶ台を置いてみるとこんな感じ。
 右上はカーテンレールにぴったり当たっている。

 実はこれからが大変。
 かもいの分約50mmほど出っぱってしまったので、その分ちゃぶ台の高さの棚を切り落とす羽目になった。
 それにしてもこの写真を撮るために回りの物をどかすのは非常に大変であった。というか、これだけの大きさの物を置こうとすると回りの物をどかさないといけないのだよな。
 棚を作るのも結構大変だが、部屋の整理もそれ以上に大変であった。

 で、再び配置してモニターとキーボードを置いてみたところ、どこで計り間違えたのかまだ50mmほど出っぱっている。
 ここで50mm切り落とすということは、一番下の板も切り落とさないとちゃぶ台の足が干渉してしまうということである。
 急遽縁側(らしき場所)に引っ張り出し、秘密兵器のジグソーで切り落とす。
 平行カット用の定規をつけているにもかかわらず、なぜかまっすぐ切る事ができない。
 刃がたわむんだよなぁ。
 まぁ、ジグソー自体曲線切り用の工具なので、しかたないといえばしかたがない。
 どうにもしかたがないのでしかたなく普通ののこぎりを使ってひじを側板にぶつけながら切り落とし、かんなで仕上げる。

 で、まじめな人はこのあとでちゃんと塗装をするらしいのだが、私は木の雰囲気を大事にするためにあえて塗装は行なわない。けして面倒だとか塗るのが下手だからとかそういう理由ではないということにしておく。

完成 さあ、これで完成である。
 もうすっかり陽も暮れてしまったが、棚にがらくた物を入れてみるとなんかそれっぽく見えて大変よい感じである。
 しかし、15mm厚のパイン集成材だとちょっと重いものを乗せると棚板がたわむのがわかる。
 上の棚に本をたくさん入れるようになったら補強を入れる必要があるかもしれない。
 やっぱり20mm厚くらいの板で作るのがよさそうである。
 さらにこの材質、思った以上に柔らかく、ちょっと角をぶつけるとすぐにへこむのである。
 表面にニスくらい塗ってあげたほうがよかったのかもしれない。
 噂によると、湿度の変化でゆがんでくるらしいので、その防止目的としてもニスは塗ったほうがいいらしい。
 ま、過ぎたことをうだうだ言ってもしかたがないのでやっぱりこれで完成。

 本棚といいつつ本よりもCD類が大半を占めているところが本来の目的に沿っていてとてもよろしい。

 この写真を見るときれいに整理されたようにみえるが、実はまだこの回りにいろんなものが転がっているのである。
 おかしい、この棚にすべて入るはずではなかったのか?。

 これを見て本棚を作ろうと思いたった人、悪いことは言わないから正統派のやり方を踏襲することを奨める。

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