果実酒

 別に果実酒を作るのが趣味というわけではないのだが、実家から送られてきた荷物の中にカリンが入っていて、親に「これはなんのために入っているんだ?」と聞いたところ「香りを楽しめ」とのこと。
 そんな趣味は持っていないので、果実酒をつくろうと思いたった。
 実家にあったカリン酒が結構うまかったのだ。

 しかし、作り方がよくわからない。
 ホワイトリカー、氷砂糖、瓶など、果実酒を作るのに必要なものを買ってくると、基本的な作り方が書いてあるので、それを参考にすればいいのだが、分量や手順が微妙に異なっている。
 そんなわけでインターネットで調べてみたが、あまり詳しく書いてあるものはなく、上記の資料とほぼ同等の内容。
 と、いうことは、各資料に共通の注意点さえ守っておけば、細かいことは気にしなくても、適当にやればできるということに違いない。
 どれが正しいということでもないらしいので、結局は1回作って様子を見て、次からは自分の好みで調整すればいいのだろう。
 って、次はあるのか?>自分

 そんなわけで、あちこちから拾ってきた情報をもとに、お手軽に「基本編」と「種類別編」「実践編」にまとめてみた。
 「実践編は」とりあえず自分で試したカリン酒のみ。

 このページを読むだけで、あちこち調べないですむかもしれない。
 なんて便利なページなのだろうか(笑)。

 けど、自分で試したわけじゃないので、ほとんどが「〜〜らしい」「〜〜ということだ」みたいな表現なのがちょっと弱気(笑)。
 

基本編

 果実酒用として各種売られているのでそれを買えばすむ。
 5〜6月は梅酒の時期なので、そこら中で山積みになっている。
 値段は500〜1,500円くらい。
 オール樹脂製、瓶はガラスだがふたは樹脂、すべてガラスの順に高くなる。
 個人的にはオール樹脂のは気分が出ないので避けたい。
 樹脂は汚れがつくと落ちにくいのと熱湯消毒ができない物があるので、ガラス製がよいと思える。
 容量は、ホワイトリカー1.8リットルを使うのであれば3リットル用となる。
 だいたいこれを目安にして、材料の分量と容量を決めればいいだろう。
 ちなみに2リットル用と3リットル用では値段はほとんど変わらない。

 使う前に消毒をするとよいらしい。
 雑菌があるとカビがはえやすいとのこと。
 物によっては「ホワイトリカー自体が消毒作用があるので普通に洗うだけでよい」と書いてあるが「ちゃんと消毒しましょう」と書いてあるのもある。
 ま、消毒をするのが無難なので、やっておく。
 一番簡単なのが「普通に洗った後にホワイトリカーで消毒する」というもの。
 けど。ホワイトリカー自体が結構高級品
 で、調べた範囲の大多数が熱湯消毒。

 やり方は、大きめの鍋の底に布巾を敷き、水を入れ、さらに中に水を入れた瓶を入れて沸かす。
 結構時間がかかるので、横着な方法を考えてみた。
 瞬間湯沸器のお湯を使うのである。
 ガラスの場合、厚みがあればあるほど熱で割れやすいので、いきなり熱湯を入れず、まず、ぬるま湯で満たしてからお湯を捨て、次にやや熱いお湯を満たしてというように、じょじょに瓶の温度をあげていくようにする。
 最後に最高温度にした熱湯を入れ、しばらくそのままあふせされておけばよいと思う。 時間、ガス代共にこちらのほうが結果的にはお得だと思える。
 なにしろ最初の方法で試したところ、いつまで経っても瓶の中の水の温度が上がらなかったのである。
 

果実

 使用する果物は、ほとんどのものが使えるらしい。
 熟す直前のやや固めのもの、味はすっぱいもののほうがよいようだ。
 いたみのあるもの使うと、濁ってしまうとのこと。
 果物以外にも、野草や野菜など健康にいいものとか煎じて飲むものなども使えるらしい。
 ミックスするのもよいらしい。
 甘いものにはレモンを入れるというのが常套手段のようだ。
 

砂糖

 砂糖は、通常は氷砂糖を使用するが、黒砂糖などでもいいらしい。
 普通の砂糖に関しては、どこをみても書いてなかったので、適さないのかもしれない。
 ショ糖を使うと癖がなくていいと書いてあるところもあった。
 けど、氷砂糖の成分のほとんどはショ糖らしい。
 氷砂糖は、形の整ったものよりロック氷砂糖のほうが溶けやすいのでよい。

 砂糖が少ないとさっぱりとした味になるがカビがはえやすいとのこと。
 カビがはえたらカビを取り除き、砂糖を追加すればいいらしい。
 また、砂糖が多いほうが浸透圧により果物の成分をひきだしやすいとのこと。
 が、ホワイトリカーの入れものに書いてある説明に対して、インターネットで拾った情報だと砂糖の量は半分くらいになっている。
 下の表に書いてあるものでも、妙に砂糖の量が少ないやつはインターネットで仕入れた情報だと思って間違いない(笑)。
 ホワイトリカーのパックに書いてあるのは失敗しにくいほうを優先しているのかも。
 う〜む、やはり結局はアバウトでいいということらしい。
 

 酒はアルコール度数35%以上であれば、ウィスキー、ウォッカ、焼酎などなんでもいいらしい。
 通常はホワイトリカーを使う。いかにも「果実酒用」というパッケージで売られている。
 結構高いが、ディスカウント店で買うと安く手に入るのかもしれない。

作り方

 基本的な分量は果実1kgに対して氷砂糖0.5〜1kg、ホワイトリカー1.8リットルをつけこむだけである。
 下の表で、特に分量が書いてないものはこれで行けるはず。
 材料によって果実を取り出す時期、飲めるようになる時期、熟成する時期が異なる。
 果実を取り出す時期と飲めるようになる時期はほとんど同じようである。
 雰囲気としては、柔らかいイチゴなどは1週間程、レモン、リンゴなどのいかにもジュースなものは1〜2ヶ月、見るからにジュースを作りにくそうなカリンなどは6ヶ月、青梅などの見た目がジュースとは程遠い物は1年くらいのようだ。
 薬草などは入れっぱなしなんだろうなぁ。
 熟成は半年から数年、飲めるようになる期間の2〜3倍くらいが目安のようだ。
 

果実別の作り方

 とりあえず、簡単に表にまとめてみた。
 どうせアバウトでいいのだから、こんなもんで上等であろう。
 
種類
作り方
実を出す時期
できあがり
梅酒
青梅か黄色く熟した梅を洗って水分を拭きとり、すぐにつけこむ。  1年
長く漬けておいた方がいいという説も
6ヶ月
1〜3年置くとおいしくなる
梅シロップ
果実酒じゃないけど・・・。
青梅1kg、氷砂糖1kg、ホワイトリカーまたは食酢100〜200cc。
青梅を洗って水分を拭きとり、青梅と氷砂糖を1/3くらいずつ交互に重ねるように入れる。
ホワイトリカーを入れ、瓶を逆さにして隅々までホワイトリカーを行き渡らせる。
3週間ほどでできあがるので、実や種を取り出して瓶に移しかえ、保存する。
3週間 3週間
カリン酒 梅とカリンは果実酒の王道らしい(笑)。
カリンは表面に蜜が出ているためにゴミがつきやすい。
まずはぬるま湯でタワシを使ってよく洗い、水分を拭きとる。
3日ほどおいて表面に蜜が出てきたら、輪切りにして皮や種も一緒につけこむ。
1〜2ヶ月で飲めるようになるらしいが、半年くらいはおいたほうがいい。
1年以上おくと、苦味がまろやかになるらしい。
6ヶ月 1年
レモン酒 重くて柔らかいレモンがいいとのこと。
氷砂糖は300g程度。
ワックスがついていたりするので、お湯でよく洗い、輪切りにしてつけこむ。
3週間ほどでできあがる。
苦味を嫌う場合は皮を剥いて白い部分を取り除き、実だけを輪切りにしてレモンの個数の1/3分の皮と一緒につけこみ、3日〜1週間くらいで皮だけ取り出すとよいらしい。
3日〜1週間で皮だけ取り出す
実は3週間
3週間
みかん酒 みかん500g、レモン2個、氷砂糖200g。
お湯で洗い、ワックスを落として2つ切りにする。
レモンは皮をむいて2切りにし、みかんと共につけこむ。
2〜3ヶ月で飲めるようになる。
1ヶ月くらい? 2〜3ヶ月
イチゴ酒 イチゴ、氷砂糖は700g程度。
水洗いをしたらヘタを取り、布巾で拭いてつけこむ。
空気に接した部分が腐りやすいので、レモン3〜4個、もしくは大きめの夏みかん1個分を輪切りにしてふたにすることで腐るのを防止するとともに、酸味がつく。
1週間 1週間
リンゴ酒 リンゴ、氷砂糖は700g程度。
すっぱいものを選ぶ。
水洗いの後によく拭き、1cmくらいの輪切りにし、実だけのレモン3個ほどと一緒につけこむ。
2週間 2週間
さくらんぼ酒 さくらんぼ500g、レモン2個、氷砂糖300g。
さくらんぼはよく水洗いして水気をよくふきとり、くきを取る。
レモンは実だけにして輪切りにし、さくらんぼと共につけこむ。
2〜3ヶ月でできあがり。6ヶ月たったら、実を取り出す。
6ヶ月 2〜3ヶ月
にんにく酒 にんにく、氷砂糖は400g。
小房にばらしたにんにくを5分ほど蒸し、冷やしてからつけこむことで、においがうすらぐ。
強精・強壮・健胃整腸によいらしい。
3ヶ月ほどで飲めるようになる。
入れっぱなし? 3ヶ月
しいたけ酒 乾燥しいたけなら50g、生物なら400g、氷砂糖200g。
神経痛に効くらしい。
実だけのレモン3個分を1ヶ月ほど一緒につけこむと飲みやすくなる。
入れっぱなし? 1ヶ月

実践編

 と、いうわけで、カリン酒を作ってみた。

 左上がカリン。
 表の説明のとおり、まずはぬるま湯でよく洗い、蜜と汚れを落とす。
 そして、3日ほどおいて表面に蜜がでてきた頃に輪切りにする。
 結構実が硬い。
 右上がこの6個のカリンを輪切りにしたもの。

 だいたい分量通りに果実と氷砂糖を入れる。
 瓶は当然ガラス製。
 透明感があるのでおいしそうにみえる。
 梅酒なんかだと、果実と氷砂糖を交互に3段重ねくらいに入れるらしいが、カリンの実の大きさではそうも行かない。
 で、ホワイトリカー1.8リットルを入れるとこんな感じになる。
 なんとなく分量としてもちょうどよいような感じ。
 ちなみに瓶は3リットル用なので、この分量だとやはり3リットルが丁度よい。
 あまり空気が多いのもよくないような気がするが、かといって2リットルでは足りないだろう。

 右上のは漬けてから約6ヶ月経ったもの。
 なんとなくいい色合いで、果実酒っぽくなってきている。
 カビたりにごっている様子もなく、透明感があってうまそうである。
 あとは実を取り出して熟成を待つだけである。
 プラスチックの瓶よりガラスのほうが絶対にうまそうに見えると思うな。

 余談だが、右の写真だけが妙に明るいのは、これだけPoershot G1で撮ったものだから。
 どうも明るめに撮る傾向にあるようだ。

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