まず、金ノコの刃を削ってナイフらしい形にする。
この際に、グラインダーを持っている人は一気に加工できてしまうのだが、持っていない人はヤスリを使う必要がある。
で、金ノコの刃はヤスリがけをするには硬いので、いったんバーナーで真っ赤になるまで加熱し、ゆっくりとさましていくことで焼きなましを行い、材料を柔らかくする。
これでヤスリで簡単に削れるようになるわけだ。
真っ赤になった鉄というのはなんかわくわくするものがある。
グラインダーで削る際は、水を入れた容器をそばにおいておき、削っては水につけるようにしてなまらないようにする必要がある。
真っ赤になった鉄を急激に冷やすことで硬くなるのである。
いわゆる焼き入れというやつ。
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金ノコといえば金属も切れる刃がついている。
手に持った時に結構痛いので、ヤスリで刃をつぶしておく。
ついでに角を落としておくとさらによい。
で、ナイフの形にヤスリで削り、刃の部分もヤスリで作っておく。
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こんな感じ。
ヤスリで削って形を作っただけなので、いかにも切れ味が悪そうである。
刃の部分もヤスリの目がついている。
そもそも焼きなましをしてあるので、何かを切ると刃のほうが負けてしまう(笑)。
そこで、焼き入れを行なうわけだが、やり方は簡単。
先程ちょっと書いたように、真っ赤に加熱してから水につけるだけ。
この時の「ジュッッ」と言う音も、なにかわくわくするものである。
何かの話しによると、この時に冷水で急激に冷やすのではなく、暖めた油で冷やすことで、欠けにくい粘りのある刃ができるらしい。
けど、欠けたらまた研げばいいだけなので気にしないこととする。
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焼き入れをしたあとに研ぐとこんな感じになる。
中砥で形を整え、仕上げ砥で刃をつける。
刃先が光っていて、いかにも切れそうな雰囲気。
とりあえずなにか試し切りをしたくなるのである(笑)。
砥石で研ぐときは、片面を研いで返り(薄くなった刃先がそりかえってくること)が出たら裏側を研いで返りを落とすようにする。
この刃は片刃なので、片面中心に研いで、最後に返りを落とすだけでよいのだが、普通の包丁のような両刃は裏表を対象に研いでいかないとバランスが悪くなるので注意が必要。
研ぐときに、刃を薄く(刃先の角度を狭く)すると切れ味は鋭くなるが、刃の寿命は短くなる。
逆に、刃を厚くすると切れ味は落ちるが刃の持ちはいい。
使用目的によって研ぐ角度を調整できるのも自作ならではである。
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調子に乗って金ノコの表面も研いで鏡面仕上げにしてみた。
ピントが合っていないようにみえるが、よく見ると表面に半月状に写ったカメラのレンズにピントが合っているのがわかると思う。
所々曇っているのは愛敬ということで。
このくらい表面を仕上げると、さびも出にくいのである。
ここまでくると、かなり愛着が沸いてくる(笑)。
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これは、左右両方に刃がついているナイフ。
この写真だと「上下」と言ったほうが合っているけど。
金ノコの刃で作ったナイフは、金属を加工した後のバリ落としにかなり使い勝手がよいのだが、刃が片方だけだと一方向にしか削り落とすことができない。
そこで、両方向でも切れるものを作ってみた。
こういうのはなかなか売っていないので、まさに自作ならではのオリジナルナイフである。
難易度は高いが、アクリル板を切るためのアクリルカッター(Pカッターとも言うらしい)も自分で作ることができる。
現物を文房具屋や工具店で見てきてそれっぽく作るのである。
手間を考えると、多分買ったほうが安くつくと思うが(笑)。
昔バイトをしていたところで、似たような形状でキャプタイヤ電線の被覆だけを綺麗に剥く工具を持っている人がいた。
いつか作ってみたいと思っているが、今のところ使うことはまず無いのでちょっと気分が乗らない(笑)。
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これは、いらなくなった車載工具のドライバーを使って作ったスクレーパー。
すべての角を研いで刃をつけているので、切れ味は多少落ちるがいろんな場所のバリ落としや面取りに使える。
金ノコの刃のナイフより力をかけることができるのが利点。
四角く形を作るのに、金槌で叩いてからヤスリがけをし、形が決まってから砥石で仕上げた。
このように、自分の作業に適したナイフを作れるので、作業自体も楽しく楽にできるという訳である。
特殊なものでなければ、慣れれば一本作るのに1時間とかからない。
ヤスリがけで刃の形を綺麗に出して、研ぐ時間を減らせばそれこそ30分くらいでできる。
工具箱の中に一つ、自分だけのオリジナルナイフを入れておくというのもいいぢゃないか。
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