エクセルで簡単な日程表を作成する

目的

 仕事の進行具合を管理するために日程表とか工程表などというものを作成するのはよくある作業である。
 で、なにかとトラブルがあって進行に遅滞が生じると、上司とか顧客などから言われるのが「日程表を出せ」である。
 しかしながら、この日程表を作成するにあたり、適切なソフトウェアがなく、苦労して既存のソフトウェアや使い慣れない専用ソフトを使って日程表を作成している場合が多い。
 更に、苦労して作った日程表は提出しただけでそのまま放置される可能性が非常に高い。
 そんな日程表を作るために貴重な作業時間を費やすのでは本末転倒である。
 そこで、エクセルのグラフ機能を使い、簡単な日程表を手軽に作る方法を紹介する。

 なお、EXCEL97にて説明しているので、他のバージョンの場合は操作が異なるかもしれない。
 各自適当に読み替えてほしい。

 日程表を作りながら心の中で「へっ、やってらんねーぜ」とつぶやくと気分が盛りあがってよろしい。

作成方法

項目を決める

 まず、各作業項目を決める必要がある。
 ここでは、私の部署の標準的な作業内容である、「設計」「部品調達」「組配」「調整・検査」「出荷」「現地作業」を作業項目とした。


日程を入れる

 各項目に対して、開始日、必要日数を入力する。
 わかりやすいように、終了日も表示させる。
 この時に、開始日の表示方法を日付形式にする。
 具体的には、下図のようにC列を選択して「書式」−「セル」から「表示形式」を選び、分類はユーザー定義とし、種類のところに「yyyy/mm/dd」と入力する。
 同様に、必要日数の列は「dd」、終了日の列は「yyyy/mm/dd」に設定する。


 設計の開始日(C3)に例として「2001/03/01」と入力する。
 同様に、必要日数(D3)を「30」と入力する。
 終了日(E3)は数式で「=C3+D3」と入力することで、自動的に計算が行われる。
 必要日数を入力するときに、専用ソフトとは異なり休日の計算は行わないため、純粋な稼動日数ではなく、土日も考慮した日数を入れておく必要がある。

 設計の行を入力したら、部品調達の行を入力する。
 開始日は、設計の行と同様に直接日付を入れる方法もあるが、計算式を入れる方法もある。
 設計の80%が終わった頃から部品調達を開始したい場合は、設計開始日+設計必要日数×0.8ということで「=C3+D3*0.8」と入力する。
 設計終了翌日からの手配であれば、「=E3+1」と入力すればよい。
 終了日はE3の値をコピーする。

 このようにして、すべての日程を入力する。


グラフの作成

 B3からD8までを範囲選択し、「挿入」−「グラフ」もしくはグラフウィザードのボタンをクリックしてグラフウィザードを起動する。
 グラフの種類は「横棒」、形式は「積み上げ横棒」を選び、「次へ」ボタンをクリックする。
 「データ範囲」の「系列」で「列」を選択する。
 「系列」タブをクリックし、一番下の「項目軸ラベルに使用」のセル範囲をB3〜B8にし、系列1の範囲をC3〜C8にする。


 「追加」を選び、系列2を追加する。
 系列2の範囲をD3〜D8にする。


 「次へ」をクリックし、「凡例」タブの「凡例を表示する」のチェックをはずす。
 「次へ」をクリックし、グラフを描く場所をシートかオブジェクトの好きなほうを選択し、「完了」をクリックする。
 下のような感じのグラフができているはずである。


グラフの設定変更

 X軸の範囲、表示形式を変更する。
 X軸の文字(2001の辺り)をダブルクリックして、軸の書式設定を行う。


 目盛りの最小値は、月曜日になるようにすると見やすくてよい。
 最大値は多少余裕を持たせて指定する。
 目盛り間隔は7日、補助目盛りは1日刻みにすることで一週間毎の目盛りとなり、見やすくなる。
 表示形式のタブで、表示形式を「ユーザー設定」で「mm/dd」としたり、フォントの大きさやグラフの大きさを調整してX軸が見やすくなるようにする。

不要部分を見えなくする

 各棒グラフの左の部分は見えなくしたほうが日程表らしくなるので、これを見えなくする。
 まず、グラフの見えなくしたい部分(下の図の点のあるところ)をダブルクリックする。

 下のようなダイアログが表示されるので、パターンの「輪郭」を「なし」に、「領域」を「なし」に設定する。


 すると、下のように日程表らしい外観となる。


 この状態だと、設計の項目が一番下に来ているので、Y軸の範囲、表示形式を変更する。
 「現地作業」の文字をダブルクリックして軸の書式設定のダイアログを開き、「軸を反転する」にチェックを入れる。


 これで、下の図のように日程表が完成する。


 あとはグラフの設定をいろいろと変えて見栄えをよくすればよい。

その他

 この方法で作成した日程表は、最初に作成した表の数値を変えることでグラフも連動して変化する。
 また、グラフの一つをクリックし、ハンドル(8ヶ所の黒い四角)を表示させ、右側のハンドルをドラッグすることでグラフの長さを変化させることができる。
 表の中の数値も連動する。


 この時に、表の値も自動的に変化し、変化した値が計算式に入っている項目のグラフも自動的に変化するので、日程の修正があった場合の対応も簡単にできることとなる。
 つまり、なんらかの問題が生じて日程が変更になった場合でも適当にごまかせ柔軟に対応できるのである。

 日程表を作っている暇があったら本来の作業をどんどん進めたいのが本音なので、日頃使いなれた?エクセルで簡単に作成できるというのはありがたいだろう。
 あえて言わせてもらえば、このような事務作業は事務が得意な人か実務をやらない上司にやってほしいところである。
 ついでに客先にあやまるのもお願いしたいものである(笑)。

しかし、残念な事に今(2001年後半時点)の部署での仕事は、日程はすべて急ぎなので、日程表の必要性がないのである。
 それも、あとから来た仕事のほうが記憶に新しいために優先度が高くなるというとんでもない世界である。


グループメンバーの稼動状況を見る

 2003/11/20 追加

 意外に参照数があるようなので(笑)、日程表の応用としてこんなのも作ってみたりする。

 仕事をすすめる上で、一人の人が設計から組立から確認作業まで行う場合と設計・組立・確認が分業となっている場合がある。
 いずれにせよ、その人にどのくらい仕事がつまっているのかを一目でわかるようにすることはグループを管理する上で必要なことと思える。
 そんな訳で、この手の日程を見やすくするためのグラフというものを作ってみる。
 二番煎じなので、説明はかなりはしょる(笑)。
 ちなみに、相変らずExcel97である。

 まず、データとして必要な項目名を入れる。
項目入力

 ここでのポイントは、一番左に担当者を入れ、作業名のところにも区切りとして半角スペースに続いて担当者名と"-------"を入れている。こうしておくことで、データの並び替えを行った際に担当者毎に並び、区切りが各担当者名の一番上に来るようになる。
 グラフのデータ範囲より下に行を挿入してもデータ範囲は広がってくれないので、データを増やす際には必ずグラフのデータ範囲内に挿入する必要がある。
 そのために一番下に予備枠を設けておくと予備枠の行の上に新規に行を挿入することで自動的にグラフのデータ範囲が広がってくれる。
 ちなみに「待ち」というのは自分以外の人が作業をしている間の待ち時間のために設定してある。

 グラフのデータ範囲を指定する。
範囲指定

 前回は一つ一つ手入力だったが、今回は範囲指定を行って半自動でグラフを作ることにする。
 この時、表の中に下手に数値を書き込むと自分の想定したグラフとかけ離れた物ができる可能性があるので、数値(もちろん文字も)入れない状態で範囲指定を行う。

 あとはグラフウイザードで前回同様に横棒−積み上げ横棒を選び、系列は列を選択して余計なことを考えずに次へ次へと進み、グラフを作る。
ウイザードでできたグラフ


 で、これもまた同じようにY軸を反転させて、X軸は目盛り間隔7補助目盛り間隔1にし、フォントの大きさとか表示形式を適当に調整して体裁を整える。
 こんな感じ。
体裁を整える


 つぎに、表に適当な数値を入れてX軸目盛りの最小値を開始日のちょっと前の月曜になるように(この例だと11/24)指定する。
X軸目盛り指定

 開始と待ちの部分の輪郭と領域をなしにしてあげるとだんだんそれっぽくなってくる。
ほぼ完成


 最後に、まじめに日程を入れてみる。
日程入力

 Project Aは佐藤さんがメイン、山田君は新人なので補佐として手配と組立、確認作業を手伝わせる。
日程の入ったグラフ

 佐藤さんが設計してる間山田君は待ちで、山田君が手配をかけて部品が来るまでの間佐藤さんは待ちとなる。
 こんな感じで各プロジェクトの日程を入力していく。
すべての日程の入力

 で、こんなグラフができ上がるわけだ。
グラフ完成


 このようにして日程を組み、各自の仕事の混みようを調整してあげると計画的に仕事が動くような気がしてくる。

 さて、これは人間に対する仕事の日程のグラフだが、担当者と作業名を入れ替えて作ることで仕事に対する人間の割り振りを見ることができる。
プロジェクト単位の表

 こんな感じで担当者と作業名を入れ替え、担当者名のところに区切りとして半角空白とプロジェクト名+"------"を設定する。
 この入れ替え作業で不用意に「コピー」「貼りつけ」とかを行うとグラフのタイトルがうまく設定されなかったりするので、コピーして貼りつけを行う場合は「形式を選択して貼りつけ」を活用して文字だけを貼りつけるようにするのがポイント。
 入れ替えが終わったら「作業名」「担当者」の優先順位でデータの並びかえを行うと、このように作業毎の日程表に作り変えることができる。
 上の画像は並びかえ後のもの。
プロジェクト単位のグラフ


 いかにもきれいにまとまった日程表を作るとその通りに仕事が進みそうな錯覚に落ちいるが、実際の仕事はそれほどとんとん拍子には進まないのが世の常なので、偉い人に提出する物と本当の管理用の日程をうまく使い分ける必要があるだろう(笑)。
 自分が偉い立場の人は、現場の状況をきちんと把握しないと机上の空論となり、現場から大顰蹙を買って信用を落とすので要注意である。


2008年某日追記
 ちなみに、「EXCEL」「マクロ」「ガントチャート」などで検索するとマクロを使用したもっと立派な物がたくさん見つかる。
 個人的におすすめは「taskline」で、私も仕事で愛用させてもらっている。
 マクロを使わず簡易的に済まそうとするのであればこのページの内容でも問題ないが、ちゃんとしたプロジェクト管理を行うのであればやはりちゃんとしたツールを使うのがよいだろう。
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