正月休みに実家に帰ったら、猫がいた。
いや、猫自体は同じ家に住んでいる母の妹がのら猫を拾ってきて飼っているのだけど、今度のは私の姉の家族で飼っているやつ。なんでも、9月ごろに親とはぐれて家の回りで何日も鳴いていたらしい。
しかたがないので拾って育てることにしたとか。
始めのうちは一人でミルクも飲めない、便の始末もできない、うす汚れて目やにもひどかった。なんだったかの治療のために医者につれていったら「寄生虫がいるので薬が効かない」とのことで、寄生虫の退治までやったらしい。
てなわけで、生粋ののら猫。血統書付きの奴等とは一味違う(笑)。姉の子供に「この猫の名前はなんていうの?」と聞くと「にゃん」だという。にゃんにゃん鳴いてばかりいたかららしい。
姉の旦那は「にゃん吉」と呼ぶし、母の妹は「ちび」と呼び、母は「ちょ」と呼ぶ。
さすがに「ちょび」と呼ぶ人はいないようだ。
ちなみに「ちょ」というのは、姉が一歳の誕生日のときにもらった三毛猫の名前。私ら姉弟の遊び相手だった猫。私が実家に帰りついたとき、こいつは、一目散に逃げていった(笑)。
でも、猫の習性。指を出すとにおいをかぎにくる。何回かくり返し、油断した隙に捕まえ、部屋につれていく。で、放すと逃げていく。これを数回繰り返すと、「石油ストーブの前はファンヒーターよりも居心地がいい」というのがわかったらしく、ストーブの前の座布団がお気に入りとなる。しあわせ〜〜 以後、私の部屋に入り浸りになるのだが、ストーブの前で寝ていて暑くなると布団の方へ行き、寝るのに飽きるとじゃれ回り、疲れるとストーブの前に行くというのを繰り返すようになる。
文字通り丸くなって寝ている 時々私の膝に乗ってきて寝ることもあるが、大抵そういうときは私が部屋から出ようとしている時なので、結局ストーブの前に行く羽目になる。
姉の子供たちは にゃん をおもちゃにしている。猫にとっては寝ていたいときにちょっかいを出されるのがいやらしく、私の部屋に避難してくる。私が部屋からいなくなると、さみしくなるのか子供たちのいる部屋に戻っていく。
なんで猫って、人の気配とするところにいたがるんだろうねぇ。マイペースでのんびり生きているようにみえるのに。
でも、ふと気がつくと勝手に人の部屋に入ってストーブの前で寝ているのだよな。さすがに生まれてから半年もたっていない猫なので、やたらとじゃれてくる。
特に、寝ているときに布団から手が出ていると格好の餌食。
この猫、じゃれているときにつめは立てないのだけど、かみついてくる。ま、それほど痛くはないのだけど。
爪を立てないので、猫パンチや猫キックがなかなか面白い。しかしながらやっぱり猫である。遊びに熱中してくると、爪を立てていいものと悪いものの区別がつかなくなってくる。ま、しょうがないわな。私が布団に入っても、しばらくは布団にじゃれてくるので相手をしているが、眠くなって相手をするのをやめると部屋を出ていく。どうも母か子供たちの布団のところで寝ているらしい。
で、朝になってみんなが起きると、寝る場所がなくなるのでまだ寝ている私の布団にもぐり込んでくる。なぜか途中でUターンし、布団から頭を出して枕に乗せて寝ている。耳もとでごろごろとうるさいので私も目がさめる(笑)。
この寝方って、大人の猫はあまりやらないらしいが、どうなんだろうか?。にゃん にもお気に入りのものがある。それがこの古セーター。
いつも自分のお気に入りの場所に引っ張ってくるらしいが、さすがに私の部屋は二階なので、姉が持ってきた。
一所懸命引っ張っていこうとするのだが、引っ張るべきものの上に自分が乗っているので当然のように動かない。必死に足踏みをしているだけ(笑)。で、たまたま足が床につくと、ずるずると移動を開始する。少し移動すると、今度は後ろのほうに引きずられている部分を運ぼうとして同じ事を繰り返す。最初の状態でそのまま引きずっていけばいいものを、何を考えているのやら。
しかし、まだ子猫なのであごの力が弱くてセーターを運べないのかもしれない。
拾われてから全くといいほど鳴かなくなったらしいが、このセーター運びをやっている最中だけはうにゃうにゃ言っている。
ちょっかいを出すと「う゛に゛〜」とおこる。
もう一つのお気に入りがキティちゃんの膝掛けらしい。
なんだかチャーリーブラウンの友達のライナスだっけ、シュナイダーだっけ?を連想する。
母親のぬくもりを記憶のすみにかすかに持っているだけなので、こういうのが好きなんだろうね。
母親の夢でも見ているのだろうか普通、動物というのは餌をくれる人に懐くものだが、私の場合、餌をやらなくても懐いてくる。
にゃん にとっては餌をくれる人と同じくらいに遊んでくれるというのが大事らしい(笑)。
今度帰省するときにはどうなっていることやら。
後日談。
ゴールデンウィークに実家に帰ったところ、にゃんの姿が見当たらない。
夜になっても帰ってこないと思ったら、朝、家の前で死んでいたとのこと。4/10のできごと。怪我とかはしていなく、亡骸はきれいだったそうな。
生まれてすぐに親とはぐれ、一年と生きることなく死んでしまった にゃん は不幸な猫だったと思う。でも、実家に飼われていた半年ちょっとだけは にゃん にとって幸せな時期だったと思いたい。あの世では猫が好きだった私の父に拾ってもらえるといいね。