電波時計

 秋葉原にパソコンのパーツを買いに行く人であれば、その何割かはこの電波時計を売っているのを見たことがあると思う。
 T-ZONEのワゴンセールとかで売られているやつ。
 私もかなり気になっていたのだが、やはり店頭で見ているだけではネタにならない じゃなくて どのようなものかわからないので買ってみた。
 もっとも興味深いのは、電波事情のよくない貧民街の私のアパートでちゃんと使えるかどうかである。
 パッケージはこんな感じなので、これを読んで買おうと思った人は探す際の参考にしてほしい。

 ただし、これを読んでいる現在もこのパッケージかどうかは保証の限りではないし、これ自体が売られているかどうかもかなり怪しい。
 作っているメーカーは OREGON SCIENTIFIC というところで、型番はRM-219となっている。
 輸入元は上野にある (株)アイディティジャパン というところ。
 パッケージにちゃんと住所と電話番号、FAX番号が書いてあるのがえらい。

 電波時計とはどのようなものかというと、茨城(だったと思う)から発信されている40kHzの基準電波を受信してそれによって時刻を合わせるというものである。
 したがって、電波が届くところであれば電池さえ入っていれば何もしなくとも勝手に時刻を合わせてくれるので楽である。
 また、この基準電波はかなり低い周波数なので、AMラジオが安定して聞けるところであればほぼ問題なく受信できると思える。(AMラジオの周波数は500kHz〜1.5MHzくらい)

 取説から特徴を拾いだしてみた。

 標準電波を受信し、時間、日付、曜日を自動設定する。
 カレンダー機能(月、日、曜日を表示)
 電波の受信状態の表示
 2ヶ所のタイムゾーンの時刻表示(日本とイギリスみたいに2ヶ所の時刻を表示できる)
 2つのアラーム
 アラームを止めても8分後に再び鳴るスヌーズ機能
 次第に目覚まし音が大きくなるアップトーンアラーム
 24時間アラームOFF機能(アラームを止めても、次の日にはちゃんと鳴ってくれる)
 外観はこんな感じ。
 全体にそり返ったような感じで、後ろの上のほうの出っ張りは電池が入るところ。
 側面を見ると、表側と中央、背面を分けている2本の溝が見えると思う。
 電池交換のときにはこの背面側をベリッと引きはがすのである。
 もうちょっとスマートな造りにできなかったものだろうか。

 また、この形状で、さらに底の部分にすべり止めのゴムがついているため、思った以上に倒れやすい。枕元において目覚ましを止めようとするときによく倒してしまう。
 電池をもっと下に持ってきて低重心化をはかり、さらに足の部分をもうちょっと広くすればよかったのに。

 30万年に1秒の誤差の絶対精度時計とか書いてあるけど、その精度よりも電波が発信されて届くまでの時間のほうが誤差の要因になると思う(笑)。
 もっともそんなのは普通の時計に要求できるような値ではないので気にすることはないけど。

 当然ではあるが、電波が届かなくとも水晶発振により通常の時計としても動作する。
 私の買ったものは、たまたまこの水晶発振の精度がいいようで、愛用のカシオの腕時計よりも狂いが少ないようだ。
 月差±15秒という値は、カシオのデジタル時計とほぼ同じスペックであるが、水晶自体のばらつきで精度のいいものと悪いものが存在する。
 そんな中で、メーカーとして保証できる範囲が±15秒なのだが、月に10秒以上狂うものはめずらしくない。
 もちろん温度によっても発振周波数が変わるので、腕時計であれば常時腕につけておいたほうがいつも同じ誤差となっていいらしい。
 で、私の買ったものは月に数秒程度の誤差で、電波を使って補正するほどのものではない。
 数ヶ月に1回くらい電波受信モードにして時刻を合わせなおすだけで十分である。
 1度だけ1ヶ月で3分も狂ったことがあったけど、これはきっと何かの間違いだろう。
 と、思ったら今月(2,000年12月)も3分ほど狂っていた。
 ひょっとすると、狂いやすい時期があるのかもしれない(笑)。

 ちなみに貧民街の私のアパートでもかろうじて電波の受信ができた。
 場所によっては受信できない場合もあるので、さすがは貧民街である。
 

 使ってみて不便に感じたところはスヌーズボタン。
 左の写真の黒い部分がそのボタンなのだが、非常に押しづらい。
 通常、アラームを止めるときは時計の上を叩けばいいということになっているのだが、この時計の場合はそうはいかない。
 ボタンを探してうまく指先で押さないといけないのだ。
 完全にアラームを止めるのならそのくらい手間がかかってもいいかもしれないが、スヌーズ機能は「もうちょっと寝かせてくれ〜」な機能なので押しやすくしておかないと目がさめてしまう。
 ご存じのとおり、この起きるちょっと前が非常に幸せな時間なのだ。
 設計者はこの心境をよく理解できていないのではないだろうか(笑)。

 この現状を打開すべく、考えに考えぬいた対策がこれである。
 「ボタンの上に何かを貼りつければいい」
 と、いうことで、直径5mmほどのゴムのロープを適当な長さに切り取って接着剤で貼りつけてみた。
 これは非常に具合がよい。
 目覚し時計の常識に従い、上を叩けばアラームが止まってくれるのである。
 やっぱりこうでなくてはいけない。
 ちなみに本当にアラームを止めるには前面の表示部の下にあるボタンを操作しないといけないので、ちゃんと目をさます必要がある。
 

 さて、この時計の気に入っている点をあげてみよう

  1. 時刻合わせの必要がない
  2. アラーム音が大きくない(うるさいのは嫌いなのだ)
  3. 2種類のアラームは平日用と休日用に使えて便利
 次に気に入らない点
  1. アラームのボタンが押しにくい(上記対策で解決)
  2. 倒れやすい(蹴飛ばす私に問題があるのだが)
  3. 造りがチャチ
  4. アラームの音が安っぽい(ピーピーではなく、ピロピロ系の音の方が目覚めがさわやか)
  5. 貧民向けにもうちょっと受信感度をよくしてほしい


 知り合いで同じ会社の製品を持っている人がいたが、2,000年を無事に迎えることができなかったそうだ(笑)。
 私のはちゃんと使えているので、メーカーとしても対策をしたのだろう。

 買ってからほぼ1年になるが、付属の電池(単4が2本)でまだ動いている。
 スペックでは約1年となっているが、通常は電波の受信を止めている分、ほんのちょっと長持ちをしているのだろう。

 こんな感じだが、3,000円程度で買えるものとしては割といい線に行っていると思う。
 お気に入りの道具/使えない道具で判断すると、お気に入りの部類に入る。
 ただ、この標準電波というのが試験電波だという話をどこかで耳にした気がする。
 これが唯一の不安である。
 

 後日、ここを読んだ方から連絡をいただいた。
 なんでもこの標準電波は、1,999年の6月から本格運用となり、発信場所も茨城から福島に移ったとのこと。
 コールサインもJJYになったそうな。
 詳細は 郵政省通信総合研究所周波数標準課 のホームページに書いてある。

 余談ではあるが、JJYといえば、短波帯でも標準電波を出しており、BCLブームのころは私もよく聞いていたものである。
 現在のように、ビデオデッキが放送電波の時報を受信して勝手に時刻を修正するなんていう技を知らなかった頃、一番身近で正確な時刻がテレビの時刻表示だったわけだが、これはいつでも表示されているわけではない。
 JJYは複数発信されている周波数のどれかが受信できたので、私にとっては最も身近な時報であった。
 時々英語のアナウンスが入るのはWWVHだったけど。
 WWVHとJJYの微妙な音のずれが時間の流れを感じさせてくれた。
 前記のホームページによると、その短波帯のJJYも2001年の3月で運用を停止するらしい。
 今回紹介した時計の以前のモデルには、短波帯のJJYで時刻を合わせるものが存在していたらしく、そのユーザーからは落胆の声が届いている。
 時の流れは無常な物である。


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