ストップウォッチ調整



 久々の改造ネタである。というか、更新自体かなり停滞しているのであるが。
 今回のは割と身近な内容なので、参考になる人も多いと思う。

 安売りストップウォッチ これが今回のターゲットとなるストップウォッチ。
 その辺のディスカウントストアやホームセンターで1000円前後で売られている高級品である。
 ごくまれに仕事で時間を計る事があるのでストップウォッチの一つも欲しいと思って買ったわげだが、どうせ買うのならいろいろな機能も欲しい所。

 メーターに時計のついているバイクに乗るようになってからほとんど時計を持ち歩くことがなくなったが、世の中自分の時間だけで動いているわけではないのでやはり時間を知る道具は必要である。となると時計機能もついていたほうがいい。
 仕事ではさらにまれではあるが一定時間毎に測定を行なうという事もあるので減算タイマーもあると嬉しい。
 となるとなかなか条件に合う機種が見つからないのだが、このストップウォッチはとりあえずそれらの条件を満たしている。

 実は手持ちのカシオの超高級腕時計(当時の入手価格で約2600円)にはこの機能がついていて、さらに海外出張に便利なデュアルタイムやアラーム5個に加えて電話番号メモリーなどというとってもすてきな機能があるのでついこれと比較してしまう。
 しかしながらこの超高級腕時計を会社に忘れてきたりすると結構悲しいし、腕時計だと操作性がよくない。それにしてもこのてのカシオの超高級腕時計を売っているのを最近見かけなくなってきたのが悲しい。

 で、さすがの高級ストップウォッチも1,000円程度の売り値だとバラ付きも多く、買う時に注意が必要となる。
 手持ちの時計をできるだけ正確に合わせておいてから売り場に行き、売られているものの中で最も正確に時刻を表示しているものを選ぶのがいいらしいのだが、なんとこのストップウォッチは時刻以前に日付もすべてめちゃくちゃで、製造過程の高級さをうかがわせるものがある。
 勝負をかけて直感で一番精度がよさそうだと感じたものを買ってきた訳だが、これがまた一日に1〜2秒進むという超高級ぶりであったのである。
 精度でいうと0.001%以下ではあるのだが、時計として使うには精度が悪すぎるようだ。
 ちなみに100円で買えるたぐいのやつは一日に数秒の誤差はあたりまえなので、1/100秒を計ったつもりが2/100秒になっている可能性もあるかもしれない。(いや、それが問題になることはまずないと思うが)
 こいつらに関しては時計の精度以外にもスイッチの操作性が悪すぎるというストップウォッチとしては致命的な欠陥があるので、わざわざ改造をして精度をあげるだけ無駄というのが私の考えである。ちなみに電池もすぐになくなってしまうので、手間をかけるだけ無駄である。←買ったことがあるらしい


 前置きが長くなったが、今回の目的はこの時計の精度をもうちょっとなんとかしようというものである。
 裏ぶたを開けた所 これが裏ぶたを開けた所。ここまでは電池交換で普通に行なう作業。
 高級品の割には部品が多い。
 電池はCR2032で、会社で使っている電卓と同じものなのでこれはこれでありがたい。
 けど、この高級ストップウォッチは「電池寿命10年」とか書いてあったような気がする。最初から入っている電池はサンプル品ということなので、一回交換することがあるかどうかということか。

 画像の中央上にある銀色の細長い部品が水晶発振子、いわゆるクリスタルというやつ。発振周波数は時計用なので32.768kHz。
 この近くにあるコンデンサの値を変えることで発信周波数を微調整できるらしい。

 今回買ってきたものは進む方向にずれていくのでコンデンサを大きくすればいい。
 問題は、もともとの容量がどの位なのかわからないのでここはやはり勘でいく。
 経験上水晶発振子を発振させるために使うコンデンサーは数pF〜数十pF、周波数が高いほど小さい値を使うので、32kHzというかなり低い周波数では容量は大きい方になっているはず。
 改造部分 そんな訳で特に深い考えもなくどこの会社でもその辺に転がっていると思われる18pFをたしてみる。ちなみにコンデンサーは並列にすることで容量が増える。C1と書いてある所の部品をよく見ると小さい部品が二つ重なっているのが見えるが、これが改造箇所である。

 結果、一日で1秒以上遅れるようになった。
 何も無しで1秒進み、18pFで1秒遅れるということは、18pFの半分くらいにすれば丁度よいということか。
 そんなわけで18pFをはずしてまたまたその辺に転がっていた10pFのコンデンサーをつけてみる。

 これは当たりである。3日経っても1秒とずれない。
 これで本物の高精度時計(ちなみに高級時計ではない。外見に金を使って中身は普通のムーブメントを使っているただ高いだけの装飾品としての価値しかない時計は問題外である。時計本来の性能が出てこその高級品でなくてはならない)並みとなった訳だ。
 ただし、つけたコンデンサの素性が不明のため、温度によってどのくらい容量が変わるのかは不明。夏になったら誤差が大きくなったりしてね。
 追記:約1年で数秒のずれしかなかった。もう超高精度時計と言ってもいいだろう。

 この結果に気をよくしてもう一つのストップウォッチも改造しようとしたが、こちらは基板の上には樹脂で固められたIC以外はコイルと水晶しか乗っていなかった・・・。
 高級ストップウォッチにもいろいろあるらしい。

表紙へ