ハイカム装着

 以前乗っていたヤマハのXT250Tに比べると、ジェベルの高回転はいまいちつまらない。あともう一伸び欲しいところである。
 で、ジェベルに使えるハイカムがオートリメッサから出ているということでつけてみた。
 本当はDR-R用だが、どうせ同じエンジンである。
 もちろん、他の人がつけて「いいみたいだよ」という評判を聞いてからである(笑)。

 これがハイカムの写真。
 型番は 0000A-B6120-710 と書いてあり、値段は確か12,800円。
 どう見てもノーマルカムと変わらないが、それもそのはず、使っているパーツはノーマルそのものらしい。
 刻印の番号をみてもノーマルの番号である。
 で、カムシャフト本体とギアの取り付け角度がノーマルよりわずかにずれているとのこと。ちなみにバルブの開くのを遅らせる方向。
 そんなわけで、リフト量やカムプロフィールは変わっていない。
 つまり、部品としての耐久性にも問題はないこととなる。

 まずはシートとタンクをはずしてフレーム回りをできるだけきれいにしておく。
 かむらさん はこのあとにフレームをビニールで覆ってヘッド内にほこりが落ちるのを防いでいる。
 私はなんか面倒だったのでそのまま作業をしたが、やはりちゃんとやったほうがいいに決まっている
 オイルクーラーの取り付けボルトもはずしておかないと、ヘッドカバーが取り出せない。

 この写真ではキャブレターもはずしているが、これは私のやつはFCRキャブで、カムチェーンテンショナーとキャブが干渉しているため。
 ノーマルキャブだとはずさなくてもいいのかもしれない。

 ヘッドカバーをはずすのだが、この手の作業をするときには基本的にはねじは対角線で緩めたり締めたりする。
 一ヶ所だけが緩んだり締まったりしないよう、少しずつ均一にねじを緩め/締める。
 もちろんクランクケースとかシリンダーとか、複数のねじを使って広い範囲で隙間をなくすように固定しているものはすべてこの方法である。
 たとえ適当に締めても問題なさそうなところでも、この手順で作業することによってな雰囲気が味わえる。

 チェンジペダル側のカバーの真ん中の部品もはずして、中が見えるようにしておく。
 写真だとちょっと見にくいが、中にナットが入っている。
 これを時計回りに回すことでクランクを回転させるのである。
 したがって、このナットを回すことができるボックスレンチが必要となる。
 また、同じくこのカバーの前のほうにあるボルトもはずしておく。
 先程のナットを回すと、この穴の中にTマークの線が見えてくる。
 たしかこの位置が上死点だったと思う。いいかげんだなぁ(笑)。
 クランクがこの位置になった時に、カムのギアに刻印されている線が水平になるようにするのが基本的な組み付け位置となる。
 クランクを回すのはキックでもできるが、キックペダルを動かしながらこの穴を覗くのはかなり困難なので、ここは素直にマニュアルに従ったほうがいい。
 そうそう、点火プラグをはずしておかないと回すのが大変なので、これも忘れないように。

 さて、ヘッドカバーもはずしたし、上死点も合わせた。
 次はカムチェーンテンショナーを緩める番である。
 写真のように真ん中のキャップをはずしてマイナスドライバーを突っ込み、ぐりぐりと回すわけだが、このキャップをはずしたときに、キャップを落としてしまうと取り出すのが大変なので注意すること。
 特に、セルモーターの下のほうに行ってしまうと大変である。
 本当に大変である。こういうところは経験者の話を信じるべきである。

 ドライバーも、通常のマイナスドライバー(幅6mm)だと入らないので、やや小さいもの(幅4mm)の物を使用する。
 写真では長いものを使っているが、短いもののほうが作業はしやすい。

 中のねじを押しこんで時計回りに回すとチェーンがゆるんだ状態になる。
 ここで回し方が足りないとすぐにテンションが戻ってチェーンが張ってしまう。

 あとはカムを押さえているパーツをはずすのだが、写真のように8本のねじをはずす。
 本来であれば吸気側のカムを交換するので、はずすねじは右側の4本だけでよさそうなのだが、チェーンガイドが排気側のねじを緩めないと動いてくれないのである。
 で、排気側のねじを一ヶ所だけ緩めるというのは歪みをおこしそうでよくないので、4本すべてを緩める。

 そういうわけで、正確には吸気側のねじ4本をはずし、排気側のねじ4本を緩めるということになる。

 カムシャフトを押さえているパーツにはノッキングピンといわれる部品がくっついている。
 単なるパイプなのだが、これにより上のパーツと下のパーツを精度よく固定しているのである。
 このパイプの中を先程のねじが通っている。
 つまり、このパイプのある場所というのはカムシャフトを押さえている部品の境目(カムシャフトの中心線)で、かつ、ねじの通っている部分である。
 外からは見えない。
 このパイプはカムシャフトを押さえている部品にくっついてくるくせに、すぐに落ちたりする。
 隙間からエンジン内部に落ちたりすると、素人では手に終えない作業になるので特に注意が必要。
 事前にウエスなどで隙間を塞いでおくのもよいかも。

 カムをはずす前に、取り付け状態をよく確認しておく。
 ちょっと見にくいかもしれないが、写真のように、上死点に合わせたときにカムシャフトの線が水平になっている。
 左のカムのほうが多少は見やすい。
 真ん中の二重丸の部分である。
 そして、右のカムのギアの上のほうに2という刻印があり、その左に↑の刻印がある。
 カムチェーンのこの矢印の場所のピンを1番として、17番目のピンが左のカムの3の刻印の右の↑の刻印のところに来ているのが正しい位置である。

 さて、カムの交換だが、この作業自体は全然むずかしくはない。部品をはずして同じように組み付けるだけである。
 いちおう新品のカムにはエンジンオイルをタップリと塗っておいたほうがいいだろう。
 エンジン内部の、常時潤滑されている部品を交換する時にはオイルを塗布してから組み付けるというのも基本らしい。

 無事ハイカムを取り付け、チェーンをかけたらねじを仮止めし、はずす前と同じ状態に組み付けられているかどうかを確認する。
 カムの角度とチェーンのコマ数は要チェックである。
 この時にはテンショナーを戻してチェーンを張っておく。

 問題なく取り付けられていることを確認したら、しっかりとねじを締めこみ、組みあげる。
 そうそう、ヘッドカバーのガスケットは本来なら交換するところなのだが、このガスケットはきれいに取れるので再利用が可能である。
 ヘッドカバーからのオイル漏れが気になる人は、この際に新品に交換するのも手かもしれない。
 取り付ける際にはガスケットとシリンダーヘッド、ヘッドカバーの当たる部分に薄く液体ガスケットを塗っておく。
 塗りすぎると、締めつけた際にあふれ出てきたガスケットがオイルに流れこみ、オイルラインの目詰まりをおこす。

 ヘッドカバーのねじを締めこむ際、左前のねじが一本、ねじ山をなめてしまったらしく、ねじがばかになってしまった。
 それほど無理に締めこんだわけでもないので、ひょっとすると新車のときからねじをなめていたのかもしれない。
 普通はこの手の長いねじで、ねじを斜めに入れてしまうなんてことはないのだけどねぇ。
 こんなところも「スズキだから」みたいな理由で納得できてしまうのが悲しい。
 ま、ねじロックで固定しておいたけど、今のところオイル漏れも無いようなのでよしとする。
 次に開けることがあったら、ヘリサート加工をしてねじ山を復活させよう。

 ハイカム組み付け後の感想だが、最高速はほとんど変化を感じるほどではないが、最高速に到達するまでの時間が短くなったような気がする。
 今までは120〜130km/h辺りを境に加速感が鈍り、惰性で速度が伸びていくような感じだったのが、ちゃんと加速している感じがする。

 代わりといってはなんだが、低速はやや弱くなっている。
 しかし、もともとがさつな低速がマイルドになって扱いやすくなったので、どちらかというとぎくしゃく感が減ってよくなったという感じ。

 フィーリングの変化という点ではFCRにしたときのほうがはっきりとしていて、ハイカムの場合は「なんとなくよくなったかな」程度なのだが、けして悪くなっているわけではないようだ。
 

 さて、ここでスーパーハイカム情報。
 実はこのハイカムは、ギアの位置にして半山分タイミングが遅れているとのこと。
 と、いうことは、ノーマルのカムで一山分ずらしてあげればスーパーハイカムになるのである。
 試した人の話によると、明らかに高回転が元気になったとのこと。
 ただし、この場合は低回転が犠牲になる度合はハイカム以上であるため、それを覚悟の上で試してみるのもいいと思う。
 何しろ部品代はただなのである。
 試してから変化を見て、ノーマル、ハイカム、スーパーハイカムのどれにするのかを考えても遅くはないはず。


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