これがベアリングの箱(笑)の写真。
上下の交換なので2セットである。
どう見ても同じ型番なのだが、実は同じ物なのである。
ついでにベアリング本体とレースがセットになっている。
昔のバイクは上下ともボールベアリングで、強い負荷に負けてよく痛んだものだが、下側がテーパーローラーベアリングになり、最近のものでは上下ともテーパーローラーベアリングとなっている。
ボールベアリングほど調整のコツを要求しないので、作業も多少は楽である。
ボールを落として必死こいて探し回る心配も無いし。
ということで、ジェベル250XCも上下ともテーパーローラーベアリングである。
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まず、ステムヘッドナットを緩める。
これは32mmのスパナが必要だが、売っていなかったのでモンキーレンチを使った。
かなりきつかったので、モンキーの柄にパイプを差し込んで延長してはずしたが、工具メーカーは「こういう使い方はしないで欲しい」と言う忠告を工具につけている。
この作業は、フロントフォークをはずす前に行なわないと、えらく苦労する。
経験者の言うことは聞いたほうがいい。
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メーターギア、ブレーキホースを止めているガイド類をはずし、ブレーキユニットをはずす。
ヘッドライトガードを止めているバンドも忘れずに緩める。
ついでにヘッドライトの下にあるヘッドライトユニットを止めているねじもはずす。
タイヤをはずした後にフロントフォークをはずす。
フロントフェンダーもはずす。
なんかダチョウみたいでかわいい(笑)。
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ヘッドライトユニットをはずす。
バルブの後ろのコネクタをはずしてウインカーのコネクタをはずすとヘッドライトユニットが外れる。
ウィンカーコネクタは左右同じ形状なので、組み付ける時に間違えないようにする。
緑色の線のほうが右側のウインカーに接続される。
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ヘッドライト回りをはずした状態。
既にステムヘッドナットが緩んでいるので、ハンドルの向きとステムの向きがずれている。
なんか妙な感じである。
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ステムヘッドナットをはずすとハンドル回り一式が外れる。
メーター回りをはずせばきれいな作業になるのだろうが、面倒なのでそのままごっそりとはずした。
ほうっておくとハンドル一式が下に落ちそうなので、タコ糸でフレームにかけておいた。
ステアリングナット(外側に溝のあるやつ)をはずすことでステムが外れる。
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はずしたベアリング。
グリスは決して十分ついているという感じではないし、錆を拾って茶色くなっている。 右側のベアリングは上側のやつ。
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さて、ステムからベアリングをはずすのだが、貫通ドライバーとかタガネではずすという話を聞いていたので一生懸命やってみたが、全然工具がベアリングに引っ掛かってくれず、ベアリングのローラーを押さえている金具が壊れてローラーが外れてしまった。
どうやってもはずすことができず、いよいよショップに持ちこみという敗北を覚悟していたが、特殊工具の形状がわかればなんとか作れるかもしれないと思い、サービスマニュアルを開く。
と、そこには驚くべき事実が書かれていたのである。
先端が−状の鉄棒を使用してはずせ
どこが特殊工具じゃ。
タガネでベアリングをはずす。
ただし、先程とは違い、ベアリングをはずす向きに入れるのではなく、ステムとベアリングの間にくさびを入れて隙間を拡げる方向に打ちこむ。
可能な限り全周にわたり、少しずつ平均にはずしていく。
マイナスドライバーを使う場合(当然貫通ドライバー)、先を研いで薄くしておかないとうまく行かないばかりかステムに傷をつける。
刃の幅は広いほうがステムに傷をつけにくそうである。
厚さ2〜3mmほどの鉄板を片刃状に削って使うのがよいだろう。
ある程度はずれてきてステムとの隙間が大きくなったら、ステムをひっくり返した状態で先端方向に向かってタガネを当てて叩いていく。
この時に、万力様のお力を借りてステムを押さえてもらうとよい。
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マイナスドライバーやタガネでついた傷は出っ張りが無い程度にヤスリで修正する。
写真のはマイナスドライバーでの傷。
ちょっとくらい傷がついても走行には支障無いし、見える場所でもないので気にする必要はない。
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せっかくフロント回りをはずしたので、ハンドルストッパーもちょっとだけ削ってみた。
ジェベルXCのハンドル切れ角にはちょっと不満だったのである。
左右0.6mmほど削ったが、結果的にはほとんど変わらなかったといってもよい。
しかし、今までハンドルフルロックでUターンしていたところが余裕で曲がれるようになった。
左右1.5mm程度まで削ってもよかったかもしれない。
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車体側のレースは、マイナスの貫通ドライバーを突っ込んで叩き出す。
この時も、全周にわたり少しずつあせらずに叩き出す。
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レースを打ち込む際には、はずしたレースをひっくり返して当て板として使うのは常識である。
金槌でこれも全周にわたり平均して少しずつ打ち込んでいく。
最後まで打ちこむと、叩いたときの音が「ゴッ」という音から甲高い「カンッ」という音に変わるのですぐにわかる。
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下側のレースは叩き込みにくいのでこんな工具を作ってみたが、結果からいうと金槌で打ちこんだほうが楽である。
12mmのねじ棒と四角い板、ワッシャー、ナットで簡易万力様を構成している。
これはホイールのベアリングの圧入にも使えるかもしれないので、その日が来るまで後生大事に取っておくことにする。
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さて、もう一つの難関、ステムベアリングの打ち込みである。
サービスマニュアルによると「ベアリングの上に寸法の合うワッシャーを置いてベアリングインストーラーを使って打ちこむ」となっている。
しかし、そんなでかいワッシャーは売っていないので、前記の簡易万力様に使った四角い板をガムテープで張り合わせてワッシャーの代わりにした。
ベアリングインストーラーはステンレスのパイプで代用。
パイプの内径が31〜35mmくらいなら使える。
32mmのがあればワッシャーは必要ないだろう。
ただし、私が買いにいった店では外形32mmと外形38mmのしかなかった。
厚みが1mmなので、32mmのほうはステムに入らなかったし、38mmのはベアリングの内側から外れそうなのでワッシャーがどうしても必要であった。
ちょうどいいサイズのパイプが手に入らない場合は、厚めの鉄板を当てて少しずつ叩きこむという手も使えるらしい。
その際には、いかにしてステムを安定させるかを工夫する必要があるが。
これも、叩くときにはパイプの外周を順番に叩いて平均して打ちこむようにする。
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打ち込み後のベアリングはこんな感じ。
ちゃんと奥まで入っている。
ステンレスのパイプの上側はちょっと変形してしまったが、作業がちゃんとできたのでよしとする。
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ベアリングにグリスを塗る。
塗るというよりも、ローラーの隙間から可能な限り奥にまで擦り込む。
古いレースをかぶせてグリグリやったり、指で必死に擦り込んだりして、最後におまけでちょっと盛ってみた。
取り付ける際には、周囲にはみ出した余分なグリスを拭き取ってあげる。
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上側のベアリングを乗せ、下からステムを差し込み、ステムナットを締めこんでしまえばあとはフロント回りを組みあげるだけである。
ステムナットは50N・m(5.1kgf・m)で締め込むことになってるいので、そこそこ強めに締め込むということである。
この状態でステムを左右に何回かまわしてベアリングをなじませた後、1/4〜1/2回転ほど戻す。
ハンドル回りを乗せてステムヘッドナットを借り止めし、フロントフォークを仮り組みする。
この時はロワークランプボルトのみで仮止めする。
アッパークランプボルトは、ステムナットの調整が終わってから締めるのである。
ステムヘッドナットを締め込むと、ステムナットはガタの分だけ下に押し込まれ、ベアリングを圧迫し、ステアリングの動きを妨げる。
したがって、ガタがなく、かつスムーズに動く状態になるようにステムナットを調整してはステムヘッドナットを締めこむという作業を繰り返すことになる。
ステムナットを調整するたびにステムヘッドナットを緩めないといけないのが面倒であるが、この調整が終われば作業は終わったも同然である。
あとはしばらく走ってなじんだ頃に、必要に応じて再調整を行なえばいい。
本来初回点検というのは、こういうところをちゃんとチェックしてくれるべき物なんだけどね。
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これがはずしたレースの写真。
左上のほうにローラーが当たっていたと思われる跡が見えるだろうか。
指で触ってもほとんど段差を感じないが、跡がつくということはそれなりに磨耗していたものと思われる。
無限にぐるぐる廻る場所と違い、ステアリングのベアリングはいつもほとんど同じ場所だけが当たっているため、偏磨耗をしやすい。
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はずしたベアリングの写真。
洗ってみると、錆等はないし、傷も見当たらない。
しかし、レースに当てて回してみると、多少ごろごろした感じがあるのでやはり偏磨耗しているのだろう。
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ちなみにベアリングの型番である。
NTNの刻印があるので、ここからベアリングを買うつてがある人は、スズキのパーツセンターから買うよりも安く手に入ると思われる。
ベアリング類は基本的にはメーカーの標準品である場合が多いらしい。
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